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向日葵が枯れる前に
朝凪 陽を背に傾ぐ影
掌 透かして 夏を眺めている
拗ねた顔で凭れ込んだ 柵の鳴る音
風が吹く 合図のように
僕はまた夢を見る
空の青を穿つように
坂を駆けるその後ろ姿を
呼び止めることができないのは どうして
夕凪 陽を背に傾ぐ影
揺れないスカート 時間さえ速度を落とす
弾む息遣いと張り付いた髪
潤ませたその瞳には
言えなかった言の葉ふたつ
「ありがとう」と「さようなら」だけが
今もこの身体を縛るのだ
あなたを想ってる
「またあした」と手を振ったこと
その明日がもう来ないこと
ただ幸せな時を過ごしたこと ありがとう
取り戻すように廻り始める
ゆらり、ゆらり、立つ入道雲
向日葵が枯れる前に
僕はゆきます さようなら
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