top of page

Birthday

未だ幼いこの細い腕で

幾つのものを抱えてこれたんだろう

雲の隙間から射す光を

追いかけるようなこの虚しさだけ

雨の後に咲いたこの香りに

いつかの自分と出逢う

夢だと思えば醒めてしまいそうな

僕が掴んだ綺麗なものだけに

色を重ねて形を描いてそっと閉じ込めたい

空を駆けた一筋の雲

気付けば消えるその曖昧な線

指を差してなぞった君の目

夏の日 川風 ああ 消えていく

覚えたこと 知ってしまったこと

無邪気なまま全てを受け入れて

誰かと似た君が僕を見て笑う

同じ笑顔で

傾き揺らいだ 焦がすような熱が

誰も知らない場所へと溶けていく

凪いだ蜩 冷めぬままの風

長い夢の終わり

交わした言葉も 歩いていた道も

忘れ薄れて消え行く夏の影

いつか殺した君もまた離れ

僕らの日が終わる

bottom of page